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五重塔の屋根をふき替えのため、瓦を下ろす作業員=奈良市登大路町の興福寺
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 素屋根と呼ばれる巨大な建屋に覆われて修理が進む興福寺五重塔(国宝、奈良市)で9月10日、屋根のふき替えのための瓦の取り外し作業が報道陣に公開された。

 五重塔は室町時代の1426年に建てられ、現在は1900(明治33)年以来となる大規模な修理を奈良県文化財保存事務所が実施している。最も上の五層目の屋根では作業員が一枚一枚、瓦を取り外していた。

 同事務所によると、塔全体に使われている瓦は約6万枚で、重さは約200トンにおよぶ。これらをすべて地上に下ろし、劣化の状況を確認、使えるものは再び利用する。

 瓦は土を使わず、野地板の上に作った木製の桟に取り付ける「空(から)ぶき」工法が用いられていた。塔にかかる重みを減らす効果があるが、古来の建築では土を敷いた上に瓦をふく「土ぶき」が一般的。明治時代の修理時に採用されたものかどうかは不明だという。

 素屋根の解体は2033年秋、修理の完了は34年春の予定。興福寺の多川良俊・副貫首によると、塔が素屋根に覆われてから問い合わせの電話が相次いだといい、「早く素屋根を外して奈良の観光にも寄与したい」と話した。

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